一面の空だ、と思った。
「きれいな景色だねえ」
「田舎だよなー」
見上げた空はどこまでも空で。
さえぎるものは、ぽかりと浮かんだ雲くらいものだ。
白い白い雲。くっきりした輪郭がまるで絵のようだ。
「猫がいる」
「どこ」
「あそこ」
零が指差したのは、小さな雲の塊だった。
ゆっくりと流れていく形は、言われてみればそんな風に見えるかもしれない。
四足で歩いていく真っ白い猫。
「あー、そう?」
「見えない?」
「見えなくなくもない」
「どっちなの」
くすくす笑う声は小さく溶けて。
空に浮かんだ猫は、どこへ向かうのだろうか。
ゆるゆる西へ向けて、駆けていった。
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